音楽と人生と青春後編
最悪の事故がもたらしたもの。
頚椎骨折で全治6ヶ月。
ベースの阿南も首を痛め握力がなくなり、ドラムのTAIYOHも怪我。
でも怪我の痛み、後遺症なんかより、希望、夢、期待、喜び…幸せな時間を一瞬にして奪われた痛みで、壊れそうでした。
CDの発売日当日、俺は病院のベッドです。
医者にはあと数ミリずれていたら下半身不随になってもおかしくなかったと言われました。
不幸中の幸いだったそうです。
不幸中の幸い?
確かにそうかもしれないけど、こんなの俺にとってはただの絶望にすぎません。
約半年間、一切の音楽活動はできず、せっかくの大チャンスは一瞬にして消えさりました。
もちろんその後、所属していたエイベックスのレーベルから声をかけてもらうことは二度とありませんでした。
2004年 3月 スパビ解散
こうして、最初で最後となった夢への第一歩は幕を閉じました。
レーベルからの2枚目の契約の話が出なかったことは当然だと思います。
CD発売日から半年間、全く活動できなかったバンドをサポートをしてくれるはずもありません。
ただ、今思ってもあのバンドはそれでももっと上を目指せたはずのバンドでした。
それがエイベックスじゃなかろうと、何らかの形で他の事務所等からのバックアップを受けて今後も活動できるだけのバンドだったと思います。
でも、いつの間にかファンも含めて周りからアイドルバンドのように思われていた事、そして自分達が本当に理解して欲しい、届けたい音楽とのギャップにも苦しみ、そしていろんな事を考えた結果解散の道を選びました。
ありきたりの言葉だけど、結成してから長いようで短かった5年間でした。
解散後も夢への未練を断ち切れず、中学時代からバンドをやってたナリキヨと再開し4backを結成。
インディーズ系の事務所のバックアップを受け活動を開始しました。
でも4backの活動の軌跡としては、有線でHAPPY NEVER ENDが流れた、それが限界でした。
事務所からは福岡弁でやったほうがいいだの、バンドとしてのキャラをもっと男っぽくしたほうがいいだの、様々な戦略的なことを言われ、もちろんそれは俺らが売れるための素晴らしいアドバイスだったと思うけど、そこに俺の目指していた音楽の先にある夢はありませんでした。
売れるための戦略、自分達がやりたい音楽、みんなが俺らに求めているもの。
それらを考えれば考えるほど心がパンクしそうになりました。
そんな感じで音楽への熱い気持ちが半信半疑になってきた頃、メンバーだった弟が彼女を作って、ライブ数日前に失踪。
4back活動休止。
こうして俺の東京での音楽活動は幕を閉じました。
実は俺、ほんのちょっと前まで4backが活動再開できると思っていました。
俺の小学校からの相方阿南が福岡に戻ってくるかも!?って話が出てたんです。
阿南とは、メジャーとかそんなんじゃなくて、純粋に俺らの原点に還って俺らの好きな音楽を楽しくやろうって話をしてました。
そんで新曲作ったりライブしたりレコーディングしたり。
いつのまにか規模はちっちゃくなったけど、また確かな夢を描いていました。
そしてそんな夢が広がってまたどこかへ、誰かへ届けられればいいなって、ぼんやり思ってました。
でもそれは叶えられませんでした。
現実がそんなに甘くないってゆうのは今までの音楽人生で十分分かってたはずなのに、それなのにまたバンド復活できるだなんて淡い期待を抱いて…
信じて裏切られてそれを繰り返す、たくさんの痛みを経験して、そして十分理解したはずなのに、結局そんな部分で俺は何一つ成長してなかったんだ。
でも疑って希望もなく過ごすよりは、信じて裏切られて傷ついて、それでもまた信じて。
俺はそんな奴でいい。
阿南やナリキヨ、そして俺と一緒に音楽活動をしてきたみんな。
俺はそいつらとまたバンドをやる事、そしてやってる姿を描いては、HAPPYな気分になれました。
いろんな辛さを乗り越え、そして喜び、そしてまた堕ちて。
それをずっと共に分かち合ってきた阿南との活動再開が叶えられなかった今、もうそんな未練を断ち切って先に進むべき時が来たんだと思います。
今まで応援してくれた皆さん、俺たちが復活する事はもう二度とないだろうけど、俺らの存在と、そして俺らの残してきた何か、そして俺らの音楽が、今もみなさんの心の奥に少しでも残っているのなら、そしたら俺らが、でこぼこ道を時には全力で走ったり、時には歩いたり、そして時には立ち止まったり、逆戻りしながらも少しずつ、確実に歩んできた道に意味があったんだなって思えます。
そして、そう願ってます。
東京で本気でバンドやってたとき、年甲斐もなくそんな日々を青春だなんて思ってました。
そしてやっとその青春は終わります。
4backが最後の最後に残したデモ音源と、そして4backの解散とともに自分自身の青春と、俺らを支えてくれた皆さんへお別れする時がきました。
今までありがとうございました!
M・O・R (MIDDLE OF THE ROAD)
いつのまにまにかこんな事になっちゃったのかな
そんなことさえも最近はほとんど気にしない
変わり映えのないEVERYDAY
空っぽのままの幸せ
あと少し時が過ぎれば未来地図
夢色に染まるかな
夜が明けて朝はくる今日もおんなじように
見慣れた道を眠ったままの心で歩いてゆく
休む暇もない日々に時間を奪われても
そのうちいつか輝けるような出来事を待って
どれくらい暗いこんな事を繰り返したら
切ない思いは晴れて透明になるかな
果てしなく続くEVERYDAY
探してるだけの感動
もう少しこれが続けば未来地図
色あせてゆくのかな
まだこんなんじゃないよ
精一杯のイメージでいろんな夢を描いた
適当だけど希望に満ちたあの頃を思い出す
止まらない涙さえも答えはくれないけれど
そのうちいつか嬉し涙に変わる日を待って
今はまだ芽も出ない幸せの種
あせらずゆっくり育てよう
まだ知らない未来にはきれいな花が咲くように
きっと咲くよ…